今日から、19卒の新人が入社する。
うちは、ある程度専門職であるところもあるので、仕事は「先輩が教えるもの」という教育をしている。(新人には教えてもらって当たり前だと思うなとは言うけど)
そして、今でこそ新人で教えてもらうことが多いけれど、来年は自分が新卒を教える立場だということを入社初日の段階で言う。
実際問題、新人の自分が立ち止まってしまったとき、本来であればベテランに質問したほうが的確な答えが返ってくるはずなのに、新人は年の近い先輩(つまり2年目)に質問する。
質問の答えの質よりも、質問しやすさを取るのが新人。
だから、2年目の先輩の質で、その新人の成長が決まる。
新人の気持ちが一番わかる新人時代に、質問しやすくて頼れる先輩になることの大事さを話す。
…のだが、実際問題、新人時代にそこまで意識して学ぶ社員はほとんどいない。
基本的なことを質問されても答えられない現実が今目の前にあるのに、実際に目の前に後輩が来ないとイメージできないようだ。
一方で、実際に後輩が目の前に現れても何も変わらない2年目もあまりいない。結局口でいくら言っても、その環境に放り込まれない限りは、変われないのが現実なのかもしれない。
あざらしくんと結婚してから、毎年海外旅行に行っていた。
私と彼の海外旅行経験はそう大きく変わらないから、重ねた年数のぶんだけお互い同じだけの経験があるはずなのだが、性格の問題では説明のつかないくらいの開きができてしまった。
それってどういうことかといえば、私は「個人旅行=私がコケたらアウトだ」と認識していたけれど、あざらしくんは「個人旅行=陽子がいるから大丈夫」と認識していたから、お互いに積み重ねた経験の内容がまったく違うものになったのだ。
「旅行のとき何もかも全部におんぶにだっこじゃなくて少しは当事者意識持ちなよ!」とこの10年ずーーーーーーーーーーーっと言ってきたけど、結局何も変わらなかった。
そして、ここにきて、たまたま私がパスポートをなくして帰国できなくなった関係であざらしくんひとりで直行便が就航していないバルセロナから帰国しなければならなくなったり、
仕事の都合であざらしくんと母だけでシンガポールに行ってもらったり、
バンコクにひとりで行ってもらって1日ひとりで動いてもらったり…等、私に頼ろうにも私がいない環境に放り込まれる機会が増えた。
そしてようやく旅行の下調べをするようになった。
それまでは約10年間、空港から市街地に出る手段すらまったく調べていなかったのに。
改めて思う。意識だけで人は変われない。
10年言い続けても何も変わらない。大事な家族が苦しんでも、何も変わらない。
環境を変えることには多少リスクはあるかもしれないけれど、人にものを伝えることってそれだけのことなんだ。