私は自己投資全般を説明するときは、交通機関に例える。
例えば、東京から大阪まで移動するとき、徒歩でも行けるけど、ものすごい時間がかかるから、現代では交通機関を使うのが一般的だ。
夜行バスや新幹線や飛行機など各種あるが、ほぼ所要時間と費用は比例する。お金を多く出せばそのぶん時間が手に入る。
この構造が、自己投資と同じなのだ。
大学受験予備校での講師時代も、「自主学習で合格することはできるよ、ただし、高3の2月に間に合うかと言われたら、それはわからないけど」と言ってきた。
そして、私の講座も同じだ。
問題の本質に気づくことは自力でもできる。ただし、手遅れになる前に間に合うかどうかは、わからないけど。
例えば、仕事では「職場に困った人がいる」という相談をたくさん受ける。
でも、話を聞くと、大抵の場合、困っているのは相談者本人ではなくて問題児扱いされている人その人だったりする。
では、なんでそのその問題児(仮)は困ってしまっているかというと、相談者の方が問題児(仮)に1ミリも歩み寄っていないから。
自分から歩み寄れない人は、普段からのコミュニケーションも実は薄っぺらい話しかしてなくて、相手に自分のことを伝えているようでいて、何も伝わっていないことが多い。
だから、他人が自分に歩み寄ってくれることも実はあまりないから、そもそもものごとの基本となる人間関係の構築が基礎からできていなかったり、する。
でも、本人にとってはそれはデフォルトだから、そこに不足も不安も感じていない。
結果、職場の困ったさんを「あいつは使えない」と認定することになり、悩みのタネをひとつ、またひとつと量産していくことになる。
そういう話を友人にすると、普通の大人は「そりゃあ大変だねえ」と同情してくれる。
人間関係がしっかりできているのであれば、「それってあなたにも原因があるのでは?」などと突っ込んでくれるかもしれないが、ごく普通の関係性であれば、そんなツッコミはリスクでしかない。
そして、さきほども指摘したとおり、相談者さんの日頃のコミュニケーションは薄っぺらいので、何にどう悩んでいるのかも伝わらないので、なおさら指摘しにくい。
これが、たいていの問題のカラクリだ。
こういうのはたいてい問題の根っこにあることだから、そこを解決しないと何も変わらない。
でも、そこに自力でたどり着くことってかなり難しいし時間もものすごくかかる。
だって、問題を起こしているのは相手だし、自分はちゃんとできてるって思っているんだもん。
薄っぺらいコミュニケーションしかしていないのに、自分はコミュ力あると思っていたり、
自分は前向きでポジティブだと自己評価している人が、単にネガティブなことに向き合う自信がなくて思考停止しているだけだったり、
そういう事例は掃いて捨てるほどあるのが現実…。
大学受験のときはわかりやすい「高3の2月」という締切があったから説明しやすかった。
だけど、大人の締め切りなんてものは、本人次第だ。講座を受ければ1日でわかることに3年も4年もかけても、本人がそんなもんだと思えばそんなもんだ。(何度も言うようだが、「いい年こいてそんなこともできないの?」なんて他人は指摘してくれない)
だから、今は、交通機関の話を「ショートカット」のニュアンスで話すのではなくて、「間に合わないよ」というニュアンスで話すようにしている。
問題を作り出している原因が自分にあるとわかったときには、もう人間関係は修復不可能なまでに壊れているし、うまくいかない現実に自分がもたなくなってるよ、と。
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